扉を開けると あるときは部屋一杯の大きな林檎があり、 あるときは巨大な石があり、 またあるときは妖しい匂いを放つ大きな薔薇がある。 リビングには、血を流した死体が横たわっているが、 誰もそのことに関心を示さない。 アトリエにはたくさんの椅子が無造作に並んでいるだけで キャンバスはない。 全ての部屋に鍵穴があり、 その全ての鍵は予言などはしない。 多くの人は目に見えない物を崇めて、 そこにないものには興味をもたない。 私はそれしか知らない。