━━ まほろばに眠る ━━

一番遠くに座る人は片足がなくて
隣で眠る子はよれよれの服を着て独り言。
美しいお姫様がでる舞台には誰も上がって来ず
スポットライトが一筋、小さな椅子を指し示す。
一番前の席の婦人が突然拍手をしだすので
みなつられて慌てて拍手をしだしすが舞台はからっぽで
それに飽きたらざわつき始めてまた眠る。

飽き飽きして席を立とうとすると
左前の赤毛の少女が優しく微笑む。

見上げてごらんなさい、空が四角いでしょう
この部屋を煩わしい、汚らしいと思う間は
あなたはこの部屋を出たとしても殻を破ることは出来ないわ

そういわれて
どきりとして、座りなおす。
退屈な舞台をどう眺めるか思案すべく
私もまた眠りにつく。

空は四角いのだろうか?