━━ 土にかえる ━━

与えられた体はしなやかに美しく
全てが充分すぎるほど完備されており
何も望むものなどないはずなのに
欲望を覚えた子供達は
アレが欲しい、コレがいらない、と
壊しては再三求めた。
その体は決して子供達のものではないのに
借りた体だとも忘れてしまい
壊して壊して 最後は土に還る。

彼はそれをとても悲しく思い
それでも子供達を誰より深く愛していた。
いっそ
全てを洗い流してしまおうか、とも考えてみたけれど
今はまだその時ではない。
彼は温かい慈悲の心でその日を待っている。
何も知らない子供達は
また呑気に、壊して壊して 土に還る。